本来ならPTA会長が星稜高校の卒業式で祝辞を述べるところでしたが、都合がつかず、急きょ副会長の私が代理として卒業式で祝辞を述べることとなりました。実は今年は私が星稜高校を卒業して丁度30年目。これも縁だなと、神様が仕組んでくれたことかと感謝しています。
下記がその文面です。
祝辞
本日、星稜高等学校を卒業される皆様、ご卒業おめでとうございます。
今ここに、凛々しく、たくましく、そして希望に夢膨らむ、皆様を前にして、保護者を代表致しまして、一言、お祝いを申し上げます。
「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」
これは、アメリカ合衆国のアブラハム・マズローが唱えた“マズローの欲求5段階説”の冒頭です。このマズロー博士は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化し、現在の産業界、教育界に大きな影響をもたらした方です。
この5段階というのは、1つは生理的欲求、2つ目が安全欲求、3つ目は所属欲求、4つ目が尊敬欲求、そして5つ目の自己実現の欲求。
生命を維持する為に最低限必要な食事や睡眠などの生理的欲求から、良い健康状態・良い暮らしの水準など、予測可能で、秩序だった状態を得ようとする安全欲求、そして情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属していたいという所属欲求へと人間の欲求が成長していくことを表しています。
この3つの上にあるのが尊敬欲求。自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求であり、他者から尊敬されたい、また感謝されたいと願う欲求であります。
そして最終着地として、自己実現欲求があります。あるべき自分になりたい。自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化したいと願う欲求なのです。
しかし残念なことに、世界では多くの人が生理的欲求や安全欲求を満たすことで一生を費やしているのです。昨今の中近東の民主化運動の高まりなど新聞等で報道されている通りです。また、この日本においても多くの人々が所属欲求の段階で一生を終えているといっても過言ではありません。
しかし、本日、星稜高等学校を卒業する皆様には、他者から尊敬されたい、感謝されたいという承認の欲求から、是非とも、目標を設定し、その設定した目標を実現する。あるべき自分になりたい、この高いレベル、自己実現欲求にまで成長して頂きたいのです。
自分のもつ能力や可能性を最大限に発揮する。当校の建学の精神「誠実にして社会に役立つ人間の育成」。この誠実ということば。自分に対して、他人に対して、社会に対して誠実であれ。この言葉こそが、自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮する、自己実現に不可欠な言葉であるのです。
星稜高等学校での3年間。授業を通して、部活動を通して、修学旅行や文化祭、各種の催し物を通して、そして干場校長先生を初めとする教職員の皆様の、ご熱心で緻密なご指導により、卒業生の皆様には、「あるべき自分になる力」が備わりました。
卒業生の皆様が、次の進路、学業で、スポーツで、芸術で、職業で、様々な分野で、皆様の個々の能力や可能性を最大限に発揮し、あるべき自分になられますことを、保護者を代表致しまして、この学校を卒業した一OBとして、ご祈念を申し上げます。
また、本日ご列席を賜りました保護者の皆様、教職員の皆様のこれまでのご支援とご協力に対しまして敬意と感謝を申しますとともに、ご来賓の皆様の日頃のご支援に対しまして厚く御礼申し上げます。
最後になりますが、改めまして卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。これをもちまして祝辞とさせて頂きます。
平成23年3月1日
星稜中学高等学校 PTA副会長
北川善昭