『<BMWの運動性能>
ホンダ時代に新型レジェンドの研修会に出席した時のことです。ホンダの新車研修会は決まって鈴鹿サーキットで行われており、試乗メインの研修でした。競合他車比較で用意されたのは現行BMW525と同じく現行メルセデスE320の2台、レジェンドはこの2台と比較して圧倒的な性能があると開発担当者は豪語しておられました。特に高速コーナーでの安定感はかなりのものだと自慢話は相当なものでした。
しかし実際に乗ってみて良かったのは、525でした。他と比較して思ったのはとにかく動きに違和感がないと言うか、自然なところでした。とにかく乗りやすく特に限界時での扱いやすさ抜群でした。こんなところは、普通のドライバーがとっさの危険回避の時でも安心感のある操縦性といえると思います。
レジェンドは簡単に言えば飛ばせば飛ばすほど違和感の感じる車でした。レジェンドはV型6気筒3500ccの4WDモデル、4駆のシステムはスーパーハンドリングオールホイールドライブ(SH-AWD)と呼ばれるもので、トルク配分を前後だけでなく、後輪の左右も変えてしまうという凝ったものでした。確かに理屈は良さそうなのですが実際走ってみると、フロントだけで1トンを超えるFFベースだけあって高速で左コーナーに侵入すると一瞬アンダー(外にはみ出しそうになる)に襲われ「あっと!」思った次の瞬間、右後輪に突然トルクが配分されアンダーを無理やり消し去るような走り方でした。私はこの車に乗って、いかに重量バランスと軽量化が大切かを実感しました。
個人的には4WDはオフロード用であってオンロードではもはや必要はないというのが結論です。アウディなどは4WDをオンロード用に熟成してきているようですが、トルク配分をどうこうしようがエンジンを縦にしようが重量がかさみバランスのとり難いFFベースのレイアウトでは、余計なデバイスなんかに頼らないBMWに勝ることは不可能だと思いました。』
なるほど。